野球観術

野球や組織論はいつだって愛情から始まる

時代の流れ

 

先日、友人とゆっくり話す機会があって、“時代の流れ”についての話題で盛り上がった。

今や、世の中は働き方改革が叫ばれ、時間短縮ハラスメント=“ジタハラ”なんて言う言葉もあるくらい。

そして、スポーツ界や会社組織において鉄拳制裁は当たり前であったが、昨今では“パワハラ”で訴えられる時代だ。

そこにつけて、セクハラがセ・リーグパワハラパ・リーグで両方横行している職場では、“セ・パ交流戦”とか“セ・パ同時開幕”なんて言ったりする。

先の見えない時代に、我慢することの美徳も、法律で処される時代になった。

 

 

「寺院の号、さらぬ万の物にも、名を付くること、昔の人は少しも求めず、ただありのままに、やすく付けけるなり。この比は深く案じ、才覚をあらはさんとしたるやうに聞こゆる、いとむつかし。人の名も、目なれぬ文字を付かんとする、益なきことなり。何事もめづらしきことをもとめ、異説を好むは、浅才の人の必ずあることなりとぞ」

 

皆さんも子供の頃に国語の授業などで習った、『徒然草』の一文である。

 

解釈をすると、

「寺の名をはじめとし、何にでも名前を付けることに関しては、昔の人はただありのままにわかりやすく付けたものだ。しかし、最近では知識をひけらかすように見馴れない名を付けるような者が多いのはよくないことだ。教養のない人がすることだ」

 

鎌倉時代、今から約700年前から「最近の若い者は…」と言う言い草があった訳だ。

 

最近の若い者は定時に帰ることが当たり前だと思っている!けしからん!!俺たちの若いころは終電まで働いて頑張ったものだ!」

こんな感じが結果として“ジタハラ”と言うものを生み出したと想像できる。

 

僕自身も何度も経験させられたものだ。

特に、昭和と平成の狭間に生まれた僕としては理不尽過ぎて、怒りを覚えたものだが、今の“ジタハラ”の方がよっぽど精神的に参ってしまう…。

 

ものすごく前置きが長くなったが、プロ野球のキャンプも前半を折り返し、練習試合が組まれるなど、実践的な要素が入ってくるようになった。

 

今年のキャンプで、僕が感じたのが、キャンプ序盤でケガ人や体調不良の選手があまりにも多いなと言うことだ。

 

それこそ昔なら、ケガや体調不良を隠してでもキャンプ、オープン戦を乗り切り、開幕1軍を藁にもすがる思いでつかみ取った選手がほとんどだろう。

 

でもこれが「最近の若い者は…」と言うことになるだろうか…

誰一人として、キャンプで離脱したいと思って、キャンプインする選手は居ないだろうし、故障を隠すことで故障が悪化し、選手生命に関わることにもなりかねないのも事実だ。

 

先に結論を言ってしまうと、プロ野球も一般社会も、

より実力主義個人主義になった

ような気がする。

 

長い練習時間を美徳とせず、より効率の良い練習方法で、技術を習得する時代になっている。

一般社会で言えば、“生産性を上げる”と言う言葉に近いだろうか…

 

今年多い故障者(ケガ人や体調不良を含む)も無理をせず、治療に専念し開幕には万全の状態でと考えるようになったから、この時期にそう言うことがたくさん報道されるのだと思う。

 

僕はスポーツ選手では無いから、ケガの辛さを知らないが、効率の良いトレーニングや短い練習時間は、指導者の力量が問われると強く感じる。

昔は全員で走り込みをして、全員で同じような練習をこなして、それを頑張ることが美徳だったが、今は個々人にあった練習を自分で見つけなければならないし、指導者はより個にあった指導をしなければならない。

 

故障者が多いのも、その効率に則ったものが間違っていたと言うことなだけだと、僕は思う。

だから、悪いことだとも思わない。

ただ、効率的な練習で、故障もせず技術を上げられれば良いがそれが出来ない選手もいるはず。

昔はそういう選手は、我慢をする練習をすることで指導者から認められることが多かった(=一般社会で言えば、上司の言うことを聞いて残業を沢山した人)が、今やそれも無くなったと思う。

 

だから、故障をしっかり治して効率よくシーズンに入れると思えば、それが正解だとも思うし、逆に言えば効率的に技術向上できない選手にとっては辛い話だ。

 

これも全ては“時代の流れ”だ。

それが良いか悪いかでは無い。

それによるメリットもデメリットもあるのは事実だ。

実力差が出やすくなったと言う部分においては、

昔のやり方が合っている人も居れば、昔であれば埋もれてしまった人が今は実力を発揮できる時代になったと言える。

 

キャンプの話題に戻るが、しばらくは実践が入ってきても、調整段階である。

2月中くらいは、投手有利の状況が続く。

打者の目が実際の投手のボールに慣れていないからだ。

 

 

今日の話題で言えば、今大切なことは“効率”では無く、投手で言えば1球でも多く実践で投げる、打者で言えば、投手のボールを1球でも多く見ることだが、その機会が与えられるのも、だんだん限られた人になってくる。

 

もちろん故障者には、その機会は与えられない。

 

それは“時代の流れ”が変わっても、変わらないことなのかなと思いながら、今回は締めようと思う。

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データ分析の考え方

 

野球は不平等を教えるスポーツだ。
以前にもこんなような内容のブログを更新しましたが、ホントに世の中、不平等な上に、能力の差がある以上、生きる上で大切なことをしっかり守って行かないと、世知辛いなと思う今日この頃です。

今日はそんなデータと能力の話です。
と言う訳で、今日は投げかけ方式の更新です!
このブログを読んで頂いている皆さんは、

「打者の能力のを表すデータと言えば、何だと思いますか?」

答えはありません。

どんなデータを思い浮かべたでしょうか?

打率、出塁率、OPS、いろんな指標が出てくると思います。

では、

「4番打者としてもっとも能力の高い打者は誰でしょう?」


皆さんは誰の名前が浮かんだでしょうか?

そもそも能力とはなんでしょうか?
4番打者とは、なんでしょうか?

野球を楽しむ上で、シンプルな回答=子供が感じるようなこと  でも良いでしょう!

例えば、「つつごー♬」と答えた子供がいたとしましょう。

「どうしてそう思うの?」
と聞くと、
「よく打つから!」
と返ってきました。

僕たち野球好きな大人は何を感じるでしょう?


これを裏付けるのがデータで、感覚的なものを具現化するのが数字です。

「4番打者としてもっとも能力の高い打者は誰でしょう?」

皆さんは、誰と答えて、どんな指標を出すでしょうか?

もちろん正解なんて無いし、4番打者の定義や、能力の定義もそれぞれ異なります。

その答えが、普段4番を打つことの無い選手かもしれない。

栗山監督なんかはこの話をする時、あえて“4番打者”ではなく「四番打者」と言う表現をしている。

それこそが栗山監督の「4番打者としての定義」が表れている表現だと思う。

話が脱線したが、

“4番打者とは”

“打者の能力とは”

 

これを皆さんで定義してもらって、データをもとに理想の4番像を語って頂ければ良いのではと思います。

 

なんとなくイメージをしてもらうために、先ほど出てきたDB筒香とH柳田のデータを比較してみます。

 

この数字自体に皆さんが考える4番像に必要な数字があればそれを基準に考えてもらえれば良いと思います。

 

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今回は僕の個人的な見解は入れません。

データに印がついているのは、着眼するところをどこにするかの例えとしてつけています。

この2人が本当に4番打者として能力の高い選手なのかは誰にも分かりませんが、チームの4番を担っていることは事実です。

 

それも含めて考えてもらえたら面白いのではないでしょうか?

 

今シーズンも、プロ野球中継で所狭しと画面にデータが映し出されることと思います。

そのデータをどう見るか?

 

それも大きな“野球観術”になるのではないでしょうか?

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これが真の4番かな(笑) 

日本版オープナー②

 

最近、謎の睡眠不足ですが、元気なのが不思議なくらいです。

インフルエンザも流行っているので、しっかり食べて十分な睡眠をとって、抵抗力を蓄えてキャンプの時期に入りたいと思う筆者です!

 

さてさて、オープナー制について前回の更新の続きです。

 

saiyuki6.hatenablog.jp

 

 

では、日本で実際にオープナー制が採用されると、どういうことが想定されるかをほんの一部ではあるが記述したいと思う。

 

昨年、日本ハムファイターズオリックス自由契約になった金子千尋(弌大)投手を獲得した際に、栗山監督が金子投手のオープナー起用をほのめかす発言をしていたことを考えると、ファイターズは実際にオープナーを採用する可能性がある。

 

そこで、ファイターズを中心として、オープナー制を敷くとどんな戦い方になっていくかを見ていくことにしよう。

 

その前に、僕が個人的にオープナー制に適していると思う投手の特徴を挙げてみようと思う。

 

◇オープナー投手の適正◇

クローザーの適正として、精神的にタフであることはもちろんのこと、“三振が取れる”投手と言うのが適正と言われる。

クローザーが投げる場面と言うのは、言わずもがな9回に僅差で勝っている、もしくは同点の場面である。

そこで、逆転を許せば、サヨナラ負けもしくは反撃をするイニングは1イニングしかないと言うことになる。

 

その場面では要求される3つのアウトをすんなり取ることは難しい。

そうすると、やはりバットに当てられることが無ければ、アウトは取りやすいし、逆転される可能性は極めて低くなる

そのバットに当てられる可能性が低いのは、フォークやシンカーなど、ストレートと同じ軌道から落ちるボールを操れる投手だ。

代表的なのはオリックスの増井やDeNA山崎康晃(彼の場合はツーシームと呼んでいるが)と言った、150km/hを越える速球と落ちるボールを組み合させる投手だ。

 

ではオープナーで登板する投手に適性として要求されるものは何か…

一つは四球を出さない投だと思う。

序盤に大量失点をしてしまうと、味方の攻撃の意識や作戦に大きく影響する。

大量失点の要因に四死球は当然絡んでくる

そして、絶対に上位打線から始まる攻撃のため、四死球から大量失点の可能性は大きくなる。

 

そのリスクを避けるためにも、四死球の少ない投手が一つの適正と言える

 

もう一つは、左右の揺さぶりができる投手だ

カットボールツーシーム、シュートなど、打者の内角と外角をしっかり攻めることのできる投手だ。

 

よく、日本シリーズクライマックスシリーズでキーとなる打者を抑えるのに、インコースを執拗に攻めることがある。

昨年の日本シリーズでは、ソフトバンクの柳田がカープバッテリーに執拗にインコースを攻められ、思うようなバッティングをさせてもらえなかったことは記憶に新しい。

(最後はそれを打破したので柳田の能力の高さに驚かされるばかりだったが…)

過去には、イチロー松井秀喜なども、短期決戦ではバッテリーのそう言う配球に苦しめられた。

 

これ(短期決戦)を3連戦や1試合に置き換えると、一回り目の上位打線に、インコースアウトコースの出し入れで攻めて、試合の後半には先ほどのクローザーの話では無いが、高低で攻める。

もしくは、打者の反応によっては、オープナー投手で使った配球をそのまま継続すると言う選択肢がある。

 

もちろんこれは捕手のリードによるが、かなり有効な戦術だと思う。

通常の先発投手でも可能な配球であるが、オープナー投手からリリーフする従来の先発投手とでは、投球フォームやボールの軌道が異なるため、対応されにくいのではないかと思うが、実際の例を挙げてみよう。

 

話題に上がった、金子弌投手がオープナーで登板した場合、短いイニングを全力で投げられるため、あの金子投手の全力投球を一回り目に相対することになる。

彼は、チェンジアップやカーブなど立て変化と緩急で打者を打ち取る特徴があるが、抜群の制球力を持っているため、インコースの出し入れは可能だ。

特に、金子弌くらいのレベルになると、次に登板する投手との兼ね合いで勝負球を選択することもできるため、打者としては1打席目に慣れて次の打席で勝負と言う選択肢は無くなる。

これだけでも、金子弌がオープナーで投げる価値は大いにある。

 

適正と言う面で言えば、ファイターズでは、玉井投手や斎藤佑投手などはオープナー向きだと思う。

彼らは基本的には、キレイなストレートは少ない。ツーシームカットボールが中心で、高低より内外で勝負する投手だ。

もちろん彼らには四死球のリスクがあるとは思うが、役割を与えそこを中心に練習をすれば十分オープナー投手として存在感を示すことができると思う。

左のワンポイント投手と言うのはそう言う役割を担って、練習を積んでいる。

 オープナーにもそう言う練習があって、立ち位置が出来上がっていくのではないかと思っている。

 

オープナー制も目新しさに目が行くが、

野球は確率のスポーツなので、

相手の攻撃の選択肢を削ぐこと

が出来れば、その効用は絶対にあると思う。

ベンチ入りの投手を1人多く入れないといけないことや、オープナー投手が崩れたときのやりくりは攻守にわたって計算が狂うため、首脳陣としては大変と言うマイナスの側面もあるが、相手の得点の確率をどれだけ下げられるかと言うことに着眼して運用をすれば、そのマイナスの部分をカバーできる要素はいくらでもある。

 

先ほど名前を挙げた、玉井投手や斎藤佑投手は決して1軍でレギュラーを保証されている投手ではないことも考えれば、オープナーと言う新しい役割が出来たことで、活躍する場ができるかもしれない。

それに刺激を受けた投手がそのポジションを目指して結果を残すことがあるかもしれないし、ここに左の堀瑞輝あたりが左のオープナーで入ってきたら本当に面白いと思う。

 

◇味方野手に影響すること◇

実際にオープナー投手が先発すると、どうしても投手を多くベンチに入れることになる。

そもそもメジャーは純然たる先発投手が100球前後の球数であったり、中6日では無いため、メジャーと比較することは難しいが、オープナー投手の失点や2番手投手の崩壊を考えるとリスクヘッジとして1人は多く登録する必要があると思われる。

そうなると野手の登録は1人減る。

捕手の2人制や、代打要因の削減を考えなければならない。

ファイターズで言えば、杉谷選手のような選手がベンチに居てくれると本当に助かると思うし、DH解除も含めていろんな要素が入ってくる可能性がある。

そういう意味では、ファイターズは複数のポジションを守れる選手が多いため、影響は少ないかもしれない。

 

センターライン(ファイターズで言えば西川や中島卓)以外は、試合中に3つのポジションを守ることもあるかもしれない。それくらい、登録選手を減らすことと言うのは大きなことだし、それが普通に回るようになると、選手層は自然と厚くなるが、不慣れなポジションで失策が増えてしまう可能性もはらんでいる。

もっと言えば、野手のレギュラー選手の使われ方自体をも変えてしまうくらい、オープナー制と言うのは大きなことのように感じる。

 

◇総じて◇

まだ、日本ではオープナー制を運用したチームは無い。

先ほども触れたが、メジャーリーグの先発投手の球数の目安や登板間隔が中5日と言う習慣では無いので、オープナー制を否定する評論家も出てくると思う。

 

ひとつ言えることは、結果としてシーズン中に、うまく行かなかったとしても、これをクライマックスシリーズ日本シリーズでやったらどうなるか…

失敗を経験したチームが、短期決戦でそれをやってきたら、相手チームは考えることが増える。

それだけでも、ファイターズのように常にAクラスにいるチームでは、やること自体に意味があって、それを本気でやろうとする監督と、金子弌のように新しいことをやろうとする経験豊かな投手がいる。

チャレンジする環境は整っている。

 

これも栗山監督が2019年シーズンに掲げている“ぶっ壊す”と言う要素なのかもしれない。

 

今回はデータ引用が少なく、少しコンセプトからは外れてしまったが、明日からのキャンプインを前に、更新できたことで少しホッとしています(笑)

 

それでは、良いキャンプインを!!

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日本版オープナー ①

 

昨年、メジャーリーグで“オープナー制”と言って、本来はリリーフ起用される投手が先発登板し、1イニングから2イニングを完了したのち、先発投手にリリーフすると言う戦術が実践され、日本でも注目を浴びている。

 

今回は、この“オープナー制”について“素人目線”で2回に分けて書いていこうと思う。

 

◇そもそもオープナー制とは何か◇

まず、日本だけではなく野球は、1イニング目から投球をする先発投手が責任投球回を完了した(5イニング=15個のアウトを取った)上で、その時点でチームが勝ち越していれば、勝利投手の権利と言うものが発生するルールになっている。

野球のルールの大原則は規定イニング(プロ野球で言えば9回)が終了した時点で、相手より1点でも多く取った方が勝ちとしている。

5回の時点での勝利投手の権利と言うのは、過半数のイニングを相手より1点でも少なく守ったと言うことの証だと僕は個人的に解釈をしている。

 

※意外と知られていないのは、プロ野球では5回裏終了時点で試合が成立し、コールドゲームになったりするが、高校野球は成立が7回裏終了時点で、このルールの違いがあるため、試合成立が勝利投手の条件と言うのは違うのではと言うのが個人の見解です。

 

オープナー制は、先発投手が1回から5回以上を投げると言う概念を壊し、1回からクローザーのような優秀な投手を投げさせ、その後、本来先発で投げる投手を2回もしくは3回から登板させると言うのが基本的な考え方だ。

 

僕自身は、メジャーリーグには詳しく無いが、タンパベイ・レイズが最初に採用したらしい。

その後、複数の球団が追従し、防御率の改善に成功したとのこと。

 

◇では、なぜこのような戦術が有効なのか…◇

先駆者であるレイズでは、立ち上がりの悪い先発投手の弱点をカバーするために、クローザーをオープナーで先発させていた。

初回の攻撃は1番から始まるため、上位からの攻撃を抑えると言う意味では十分に効果がある。

また、セイバーメトリクスの指標として、QS(クオリティースタート)率といって、6回を投げて自責点が3点以下であることが先発投手の指標とされているため、6回ともなれば、完全試合をしていれば別だが、打順が3回り目に入る。すると、3回目以降の打席が回ってくるため、打者の目が慣れたうえに先発投手の疲労が蓄積されているために、打たれる確率が上がってくるが、オープナー制を採用すると、そのリスクも軽減できることになる。

※おそらく2018年のデータと思われるイニング別失点率のデータを拾って来たので、見てみるとやはり1回と6回は失点が多いことが分かる。

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しかし立ち上がりが悪い投手というのは、リリーフしても同じなので2回か3回に登板しても同じなのではと感じてしまうのは僕だけだろうか…

 

またアメリカでは、予告先発と言う制度は無いが、予告先発の習慣は周知のものとして扱われている(規定された制度では無い)ため、日本の予告先発制度とは少しことなることも予め記述しておいた方がいいだろう。

 

しかし、日本では予告先発は完全なる制度のため、オープナー制はルールを逆手に取った非常に有効な手段でもある。

1軍出場選手登録枠が28人から29人になったことも追い風になるだろう。

 

◇変化する記録の価値◇

そして、上記でも記述した通り、先発投手は責任投球回を投げることで勝利投手の権利が発生するが、オープナー制が採用されると、その制度自体が全く無意味なものとなってしまう。

すると、全ての概念が崩れる。

最多勝と言う概念から、沢村賞の選考基準に至るまで、タイトルの価値も変わる。

 

逆を言えば、オープナー制で先発した投手が序盤に1点でも失点して、その後味方が、1度も追いつくことが無ければ、“敗戦投手”になる。

 

そうすると野球の文化が大きく変化することになる。

過去、日本は先発完投型が主流で、分業制と言う概念が無かった。

そして、試合の終盤を締めくくるクローザーと言う概念ができて、“セーブ”と言う記録と“セーブ王”と言うタイトルが出来上がった。

その後、セットアッパーと言う概念が出てきて、“ホールド”、“最優秀中継ぎ投手”のタイトルに繋がっている。

 

いずれオープナー投手にもタイトルができたり、QS率ならぬQKS(QuicK Start)率

なんて言うセイバーメトリクスの指標ができるかもしれない。

今回は、オープナー制の基本的な考え方と、記録との関係を記述した。

 

次回は、日本でオープナー制が採用された場合、どうなるのかと言うことを、オープナー制採用を栗山監督がほのめかしている、日本ハムを例にとって記述していこうと思う。

 

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ZOZOマリン

話題とは関係ないけど、ラグーンができるとどんな感じになるんだろうな←

 

分かってしまうことの弊害

弊害:害になること。他に悪い影響を与える物事。

 

栗山監督が今年監督になって8年目のシーズンの指揮を執る。

栗山監督が4年目のシーズンを終えた後に出版した『未徹在』の中で、

「いろんなことが分かってしまうことの弊害もある」と言う項目で、経験をすることによって判断がマイナスに出てしまうと言うことを記している。

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僕も個人的に思い当たる節がある。

会社や立場は変わっても同じ業界に10年も居ると、そう感じることが多々ある。

 

小売業で仕事をしていると、年に何回かイベントがある。

僕の場合はクリスマス、大晦日、節分(恵方巻)がそれに該当し、このイベントのことを知れば知るほど、怖さを覚えることがある。

 

例え話をすると、商品を仕入れすぎて廃棄の山になってしまうこと、それを怖がって仕入れを少なくして、早々と欠品してお客さんをがっかりさせてしまうこと。

この2つのことを考えてしまう。

 

昨年の数字(データ)や会社からの指示が判断の大きなウエイトを占めるが、何回も経験していくと怖さは積み重なるばかりだ。

その怖さが判断を狂わせることもある。

 

話を戻そう。

今年、栗山監督は8回目のシーズンを迎える。

栗山監督の年末年始の取材のコメントを聞いていると、オフの補強に対して“ワクワク感”を感じるが同時に怖さも感じているのでは?と思うことがある。

 

ファイターズは栗山政権になってから、日本一も最下位も経験している。

そう言う意味では、監督自身が自分の判断を間違えれば、どちらにも転がることを経験的に知っていると言うことだ。

 

そこで、固定概念を捨てて“ぶっ壊す”と言うコメントになっているのではないか。

過去の経験に捉われることで恐怖に押し潰されるよりも、新しい道を歩き続ける方が、もしかしたら怖さが無いのかもしれない。

 

僕が年末の監督のコメントを総合して立てたスタメンはこれだ!

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昨年、栗山監督は2番に大田泰を起用し、西川・大田泰の2人で1点が取れると言う攻撃型の1・2番を採用した。

 

昨年、4月5日~4月8日、西川を2番で使っているが、これは西川の不調によるもので、岡や大田泰を1番で起用していた。


ではなぜ僕の予想が、1番大田泰、2番西川なのか?

そしてこの打順の意図はこうだ。

これは2人の打力と走力を生かすためだ。
大田の魅力は長打だか、足も早い。単打で出塁した際には、盗塁を仕掛けて欲しい。

十分に盗塁できる走力だし、長打であれば盗塁する必要もない。

 

盗塁をしなくても、西川の打席でエンドランをかけて、1、3塁を作る。

エンドランが成功すれば、定石ではあり得ないが、西川の盗塁成功率を考えれば、ここで走って、2、3塁の状況を作ってしまえばいい。

3番の中田は2018年、パ・リーグで最も併殺打が多かったことを考えると、2、3塁にするメリットは大きいし、西川の足を警戒してストレート系が多くなる。
変化球をホームランすることの多い中田ではあるが、ストレートを狙ってホームランが打てれば、それで3点が入る。
それにホームランが打てなくてもお得意の“最低でも犠牲フライ”が打てる訳だから1点は入る。
そして、西川の盗塁の可能性を残して、近藤を迎えることができる。

要は、相手バッテリーにプレッシャーをかけやすい打順と思う。

そして、王柏融の5番起用だか、序盤は日本の投手に苦しむと思われる。
GW頃に.200を下回らないかがポイントになりそうだ。
王柏融は中距離ヒッターで、ファイターズにとってはポイントゲッターとしてどうしても活躍して欲しい選手だ。
されば、そう言うポジションを経験させておくと言うのは極めて大切なことと思う。

GW後に、打順が下がったり、スタメンから落ちたとしても、序盤は5番と言う打順を打って欲しい。

6番に渡邉を置いたのは清宮との絡みだ。
栗山監督は「清宮をシーズン通して使う」と公言している。
1試合フルに出ると言うことになれば、終盤に清宮の前後に左打者が居ると、左殺しの左腕を出しやすくなる。
逆に清宮のために左のワンポイントを使うと言うことは、それだけ相手にコマを消耗させる役割も担える。清宮がそこまでの打者として扱われるかは疑問だが、渡邉の守備力と左投手に対する相性(もっと打って欲しいと言う期待も)含め、6番とした。

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7番が清宮と言うのは、プレッシャーのかからないところで、フリーに打てると言うことに他ならない。

後述するが、清宮にはこの打順にずっと居てもらっては困ると言うのが正直なところなので、とにかくこの打順で結果を残して欲しいところだ。

開幕スタメンの捕手は、鶴岡と清水の予想で迷ったが、開幕戦と言うのはシーズンを戦う所信表明のようなものなので、鶴岡を抑えの捕手として、清水を開幕スタメン予想とした。

 

中島卓はセンターラインに欠かせない存在に成長した。

今のファイターズの中島を脅かすショートは居ないが、シーズンを通して考えると、少し物足りないとはいえるかもしれない。

 

◇ぶっ壊したものが形になる◇

 

先ほど、清宮にはこの打順にいてもらったら困ると言うこと書いた。

それは、栗山監督の清宮への期待を考えれば、7番と言う打順もそうだが、大事な場面で打てる選手に成長してもらわないといけない。

 

王柏融が思うような結果を出せなかった時、そこの打順(5番)に清宮が入る。

そしてそのタイミングで、上位は下記打順になる。

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これは、打順を規定のものに戻すのでは無く、開幕からのオーダーが作り上げた全く新しい打線だ。

(松本をサードで予想したのは、個人的にサードに適性を感じているため)

ぶっ壊したものから、最適化されたものは本当に強い。そんな上位打線になる事を期待したい。

 

そしてNK(中田・清宮)砲と言う記事がスポーツ紙に踊るのが楽しみで仕方がない。

 

 

“分かってしまうことの弊害”と言う言葉を標題としたが、未知のことにチャレンジする怖さも、もちろんある。

清宮に王柏融の成長、レギュラーを掴みかけていて掴み切れない若手へチャンスを与えること。

打順一つ組むにしても、その選手たちの人生を左右するものであることを、栗山監督を痛いほど分かっている。

 

僕が、ブログで好き勝手書いているのとは訳が違う。

 

それも過去7シーズンを指揮した監督であれば、成功したこと、失敗したこと、含めて“分かってしまうことの弊害”が監督の心の中にはあるはず。

 

我々ファンは、今年ものすごく期待しているシーズンだと思う。

 

実は上記の開幕予想の打順は、終盤の優勝争いを想定したオーダーで、監督とどれだけ同じ気持ちで居られるかをアウトプットして試している。

 

キャンプ、オープン戦、シーズンになれば、故障者や思わぬ不調に見舞われる選手が出て、青写真が崩れていくが、ファイターズにはそれを乗り越えて“前に進む力”がある。

 

それも“分かってしまうことの弊害”をしっかり把握しているリーダーが居るからであり、選手を信じることのできる上司が指揮を執っているからだ。

 

監督と最後に笑えることを信じ、キャンプ前の開幕スタメン予想とする。

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恋女房

 

新年あけましておめでとうございます。

本年も、“野球観術”をよろしくお願いします。

 

正月に実家に帰ると、親宛に親戚の人から電話があったりして、「うちの息子は結婚もせず…」と言う会話が聞こえてくる…

大きなお世話だと思うが、周りを見ていると結婚している人ばかりだし、何も思わない訳では無いが、結局は野球につながってしまい、

「(自分にとって)良い奥さんって…」

「う~ん…」

「女房ね…」

「女房役か…」

 

と言うことで、今日はそんな野球で言う“女房役”であるキャッチャーについてです。(笑)

 

最近は、正捕手といって140試合以上マスクを被るキャッチャーが減ったと言える。

いわゆる併用と言う形で、複数のキャッチャーでシーズンを乗りきるチームがほとんどだ。

 

日本一になり、日本シリーズMVPになったホークスの甲斐ですら、133試合出場の363打席で規定打席未到達だ。(二番手の髙谷が73試合の57打席)

 

以前にクライマックスシリーズの時に女房役について記述した内容がこちら↓

 

saiyuki6.hatenablog.jp

 

 

では果たして、2019年シーズンどう言う捕手が最高の女房役になるかも含めて、真の恋女房について書いていこうと思う。

 

2018年シーズンを見ていると、打高投低の傾向にあり、セ・リーグパ・リーグともに優勝チームは打撃を全面的に押し出した野球を展開した。

日本一のホークスも本塁打数はリーグ1位だった。

 

そんな捕手にとっては、苦労が絶えないシーズンになるだろう。

リード面において、昨年の数字が出ている以上、打たれることを覚悟しなければならないが、職業柄、打たれることを良しとしない上に、ボールを投げるのは投手と言う自分の力ではどうしようもない部分が多い。

名捕手と言われた野村克也監督、昨年亡くなられた闘将星野仙一監督も投手が打たれたことに関して、捕手を叱りつけていたのは有名な話だ。

理論派である元捕手も情熱派であった元投手も、“打たれればキャッチャーの責任”

元捕手で、ユニークな解説でおなじみの里崎智也氏は「キャッチャーが要求したボールがしっかり来て打たれたらキャッチャーの責任。それ以外は投手の責任」としている。

 

ただ、両者に共通していることは

「投手に投げる能力の無いボールを要求するのは捕手としてはダメ!」

としている。

外角低め(原点)へのストレートを投げるコントロールの無い投手にそこを要求して、押し出しになった。

変化球のコントロールが不安なのに、満塁の場面で要求してホームランを打たれた。

「要求したのに投手が投げきれなかったのが悪い」とキャッチャーが言った瞬間、上記両監督からは、お説教や鉄拳が下される。

 

話は逸れるが、野球は不平等を教えるスポーツであると栗山監督は言っている。

また、里崎氏も野球ほど不平等なスポーツはないとしている。

栗山監督の話は奥が深いので、割愛するとして、野球は球場の広さが違ったり、フィールドが異なる珍しいスポーツであると里崎氏は言う。

こんな数字がある。

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2018年シーズンのパ・リーグのチーム別の被安打、被本塁打、被本塁打の占有率、UC本塁打(※あるサイトで独自の計算で出している数値で、所謂勝負所の場面での打席結果を出している数字)比較のため2017年シーズンもつけておきました。

 

ソフトバンクが最も被本塁打が多い。ホームランテラスの影響でホームランの出る確率が上がるからだ。

今年から、ZOZOマリンもラグーンができるため、本塁打の数が増える可能性が高い。

 

でも、野球は不平等なスポーツだ。

バッテリーとしては、本塁打を打たれてはいけない。

「球場が狭いのであれば、そう言う配球をしなければいけない。」

キャッチャーは、球場のせいにも投手のせいにもできない。

打者のレベルも上がっているし、昔に比べてボールも良く飛ぶようになっている。

 

そしてレベルの高い、巨人の菅野のような投手をリードするのは簡単であると言われる。

要求したところにボールが来る上に、捕手が配球を間違っても、ボールに力があるため簡単には打ち返されないためだ。

 

さもあれば、要求したところにボールが来なくても、ボールに力が無くても、打者を打ち取る術を持つ捕手が最も名捕手であり、最高の女房役である。

 

書いていて思うが、捕手って本当に大変なポジションだと思う。

こんなに理不尽な仕事を持っている上に、盗塁阻止率に打てる捕手が居ないと言われる。

ケガも多いポジションだし、わがままな投手の精神的なケアもしなければいけない。

 

僕が考える最高の女房役とは、上記の被安打のうち被本塁打を占める割合が低い“捕手陣”

と考える。

不平等なスポーツとは言え、本塁打は打者がしっかりスイングできなければ出るものでは無いし、それをさせないのが捕手の仕事だと考えるからだ

2018年シーズンは、その数字が一番低く(9.7%)出場試合数が多かった、ファイターズの鶴岡・清水の二人が、最高の女房役だったと数字上は思う。(要素は他にもたっぷりありますが…)

 

もちろん優勝したチームのキャッチャーが最高の捕手ではあるが、2019年シーズンの投手にとっての恋女房はこの数字で決めようと思います(笑)。

ホークスの甲斐や、マリーンズの田村は大変だよな…小声

 

 

あ~これを書いていると思う。

奥さんにこんなに負担をかけるなんてできないから、もう少し投球術ならぬ“野球観術”を上げないと結婚はできないなと(笑)

 

そんな訳で、改めまして今年1年間よろしくお願いします。

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※画像は僕の女房役(野良猫)です。

 

 

アリガトウ! Brandon Laird!!

 

先日、ファイターズのブランドン・レアード内野手が球団との交渉を打ち切り、正式に退団と報道されました。

 

以前こんなブログを書いた↓

 

saiyuki6.hatenablog.jp

 

 

この中で、マルティネス・レアードの両外国人の残留は厳しいと言うことを記述した。

そして、その数日後に金子弌大との契約が決まった。

 

この時にふと思ったのは、これでもしかしたら、マルティネスとは再契約をするかもしれない!その分レアードとの再契約は厳しいのではないかと…

 

今年のペナントレースは打高投低の傾向が強く、そう言うチームがリーグを制した。

ともあれば、レアードを残してマルティネスを諦めると言う選択肢ではあるが、あくまでもファイターズは投手を中心とした守りのチームである。

それを考えると、本気で優勝を狙うとしたら、マルティネスの選択肢が高いのではと感じたのだ。

 

そしてマルティネスとは契約をしたが、レアードとの交渉を打ち切った…

 

 

◇記憶にも記録にも残る選手◇

退団が決まったレアードはチームにかけがえのない思い出を残してくれた。

今やファンで知らない人は居ない“スシポーズ”、ヒーローインタビューで「そうですねぇ」とおどける姿、ファンの心に多くのものを刻んでくれた。

思い出だけでなく、2016年の優勝の時には、ソフトバンクとの天王山では、特大の1発、優勝決定の試合では、大谷の神がかり的な投球に際して、レアードのホームラン1本で決着するなど、シーズン39本塁打を放ち本塁打王に輝き、優勝に大きく貢献した。

 

まさに、記憶にも記録にも残る助っ人外国人だった。

 

◇来日1年目の苦悩◇

レアードに関しては、えのきどいちろうさんの手記で僕と同じことを書いていたのを見て驚いたが、

https://www.baseballchannel.jp/npb/59350/

来日1年目のレアードはまさに、一緒に来日したハーミッダとの比較論では、“ダメ外人”だった。

結果は、上記貼付のブログか、えのきどいちろうさんの手記を読んで頂ければと思う。

 

彼が不調な時に、当時の白井ヘッドコーチがお寿司屋さんにレアードを連れて行った時のエピソードは有名な話だが、

「レアード、お前は力みすぎだ。寿司は軽く握らないとおいしくない。おまえのは力が入りすぎているから、寿司ポーズでもやって、リラックスしたらどうだ?」

「打席に入る前に寿司ポーズは出来ないから、俺がコーチャーズボックスからやってやるから力むなよ!」

※『北海道日本ハムファイターズ流 一流の組織であり続ける3つの原則 白井一幸』より抜粋

寿司屋の大将と白井ヘッドとのやり取りで、あの“スシポーズ”が生まれ人気選手へとなっていった。

レアード本人が話していたが、スタンドからの「ホームラン、ホームラン、レアード!」のコールは好きでは無かったと言う。

「毎打席ホームランなんて打てないよ」と思っていたらしい。

明るい性格ではあるが、来日1年目はそんな環境の変化と周りからの期待から、力みまくっていたのだろう。それが、序盤の2割を切る打率に表れていた…

 

◇代えの利かない守備力◇

彼は、来日1年目に9番と言う打順も経験している。それでも、栗山監督は使い続けた。

このまま行ったら、守備固めでも1軍に残すのではと思うほどだった。

それだけ、守備は安定していた。

それまで、サードは今年引退した小谷野栄一が守っていたポジションだった。

彼がレギュラーを掴んでからの守備力が安定していただけに、その水準に達している三塁手が居なかった。レアードはそれに負けずとも劣らない、グラブのハンドリングと自分の守備範囲はしっかりアウトにすることのできる選手だった。

栗山監督は著書の『未徹在』の中でこんなことを書いている。

「守備がうまい選手は必ず打てるようになる」

詳細は著書を読んで頂ければと思うが、打撃が良くても守備はうまくなるわけでは無いと言うことも言っている。

栗山監督は、「レアードの明るさをかって、スタメンから外さなかった。」と言っていたが、実はこの信念がレアードの起用にはあったのではないかと思う。

代えの利かない守備力と栗山監督の持論が、レアードに多くの打席機会を与え、本塁打王へと成長した一つの側面であると僕は考える。

 

◇打てのサインで待てる◇

これは裏付けるデータが手元に無いので、なんとも言えないが、レアードと言う選手は、本当に勉強家だと思うことがあって、決して難しいボールをヒットにしたり、ホームランにしている訳では無いと言うことだ。

基本的には、真ん中高めの半速球(変化球の抜け球など)をホームランすることが多いが、投手もそこに投げたら打たれるのは分かっている。

レアードは投手の配球を研究し、難しいボールに手を出さないことで、自分の得意なボールを投手に投げさせていた印象だ。

 

来日1年目や不調時には、外角のスライダーを追いかける癖を見ると、選球眼がもともと良いわけでは無いことが分かる。

 

いかに自分が、ホームランできるボールを投げさせるか、そしてある程度長距離砲の立ち位置を得ると、投手の失投を迎え入れるようなスイングで、ホームランを量産していった。

 

外国人には基本的には打てのサインしか出ないが、ボールを待つための努力を、僕はものすごく感じる選手であった。

 

◇東京ドームダイスキ◇

レアードは東京ドームでの試合はよく打った。

本人もヒーローインタビューで言う「東京ドームダイスキ!」だ。

狭い球場でホームランが出やすいと言うこともあるだろうが、とにかく打っているイメージだ。

正確な数字は分からないが、打率は相当良かったのではないか。

本塁打だけでなく、単打や大事な場面でのタイムリーも多くあった。

 

これも、フルスイングしなくても本塁打になるため、楽な気持ちで打席に入れていた証拠だろう。

彼はいつだって、ファンの期待に応えようと常に頑張る選手であったことがわかる。

スシポーズと東京ドームダイスキは、彼の力みやすい性格を表したものなのかもしれない。

 

 

◇チームを去ること◇

彼はファイターズと言うチームを去ることになった。

 

彼がファイターズに残した功績は大きい。

 

彼が居ないのは寂しい。

 

彼はきっとファイターズでの経験を生かして成功するだろう。

 

彼はきっとなんらかの形でファイターズに戻って来るだろう。

 

守備固めを必要としない長距離砲を失ってでも、

ファイターズと言うチームは前へ進んでいく。

 

ありがとう!ブランドン・レアード!!

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