日本版オープナー②
最近、謎の睡眠不足ですが、元気なのが不思議なくらいです。
インフルエンザも流行っているので、しっかり食べて十分な睡眠をとって、抵抗力を蓄えてキャンプの時期に入りたいと思う筆者です!
さてさて、オープナー制について前回の更新の続きです。
では、日本で実際にオープナー制が採用されると、どういうことが想定されるかをほんの一部ではあるが記述したいと思う。
昨年、日本ハムファイターズがオリックスを自由契約になった金子千尋(弌大)投手を獲得した際に、栗山監督が金子投手のオープナー起用をほのめかす発言をしていたことを考えると、ファイターズは実際にオープナーを採用する可能性がある。
そこで、ファイターズを中心として、オープナー制を敷くとどんな戦い方になっていくかを見ていくことにしよう。
その前に、僕が個人的にオープナー制に適していると思う投手の特徴を挙げてみようと思う。
◇オープナー投手の適正◇
クローザーの適正として、精神的にタフであることはもちろんのこと、“三振が取れる”投手と言うのが適正と言われる。
クローザーが投げる場面と言うのは、言わずもがな9回に僅差で勝っている、もしくは同点の場面である。
そこで、逆転を許せば、サヨナラ負けもしくは反撃をするイニングは1イニングしかないと言うことになる。
その場面では要求される3つのアウトをすんなり取ることは難しい。
そうすると、やはりバットに当てられることが無ければ、アウトは取りやすいし、逆転される可能性は極めて低くなる。
そのバットに当てられる可能性が低いのは、フォークやシンカーなど、ストレートと同じ軌道から落ちるボールを操れる投手だ。
代表的なのはオリックスの増井やDeNAの山崎康晃(彼の場合はツーシームと呼んでいるが)と言った、150km/hを越える速球と落ちるボールを組み合させる投手だ。
ではオープナーで登板する投手に適性として要求されるものは何か…
一つは四球を出さない投手だと思う。
序盤に大量失点をしてしまうと、味方の攻撃の意識や作戦に大きく影響する。
大量失点の要因に四死球は当然絡んでくる。
そして、絶対に上位打線から始まる攻撃のため、四死球から大量失点の可能性は大きくなる。
そのリスクを避けるためにも、四死球の少ない投手が一つの適正と言える。
もう一つは、左右の揺さぶりができる投手だ。
カットボールやツーシーム、シュートなど、打者の内角と外角をしっかり攻めることのできる投手だ。
よく、日本シリーズやクライマックスシリーズでキーとなる打者を抑えるのに、インコースを執拗に攻めることがある。
昨年の日本シリーズでは、ソフトバンクの柳田がカープバッテリーに執拗にインコースを攻められ、思うようなバッティングをさせてもらえなかったことは記憶に新しい。
(最後はそれを打破したので柳田の能力の高さに驚かされるばかりだったが…)
過去には、イチローや松井秀喜なども、短期決戦ではバッテリーのそう言う配球に苦しめられた。
これ(短期決戦)を3連戦や1試合に置き換えると、一回り目の上位打線に、インコースとアウトコースの出し入れで攻めて、試合の後半には先ほどのクローザーの話では無いが、高低で攻める。
もしくは、打者の反応によっては、オープナー投手で使った配球をそのまま継続すると言う選択肢がある。
もちろんこれは捕手のリードによるが、かなり有効な戦術だと思う。
通常の先発投手でも可能な配球であるが、オープナー投手からリリーフする従来の先発投手とでは、投球フォームやボールの軌道が異なるため、対応されにくいのではないかと思うが、実際の例を挙げてみよう。
話題に上がった、金子弌投手がオープナーで登板した場合、短いイニングを全力で投げられるため、あの金子投手の全力投球を一回り目に相対することになる。
彼は、チェンジアップやカーブなど立て変化と緩急で打者を打ち取る特徴があるが、抜群の制球力を持っているため、インコースの出し入れは可能だ。
特に、金子弌くらいのレベルになると、次に登板する投手との兼ね合いで勝負球を選択することもできるため、打者としては1打席目に慣れて次の打席で勝負と言う選択肢は無くなる。
これだけでも、金子弌がオープナーで投げる価値は大いにある。
適正と言う面で言えば、ファイターズでは、玉井投手や斎藤佑投手などはオープナー向きだと思う。
彼らは基本的には、キレイなストレートは少ない。ツーシームやカットボールが中心で、高低より内外で勝負する投手だ。
もちろん彼らには四死球のリスクがあるとは思うが、役割を与えそこを中心に練習をすれば十分オープナー投手として存在感を示すことができると思う。
左のワンポイント投手と言うのはそう言う役割を担って、練習を積んでいる。
オープナーにもそう言う練習があって、立ち位置が出来上がっていくのではないかと思っている。
オープナー制も目新しさに目が行くが、
野球は確率のスポーツなので、
相手の攻撃の選択肢を削ぐこと
が出来れば、その効用は絶対にあると思う。
ベンチ入りの投手を1人多く入れないといけないことや、オープナー投手が崩れたときのやりくりは攻守にわたって計算が狂うため、首脳陣としては大変と言うマイナスの側面もあるが、相手の得点の確率をどれだけ下げられるかと言うことに着眼して運用をすれば、そのマイナスの部分をカバーできる要素はいくらでもある。
先ほど名前を挙げた、玉井投手や斎藤佑投手は決して1軍でレギュラーを保証されている投手ではないことも考えれば、オープナーと言う新しい役割が出来たことで、活躍する場ができるかもしれない。
それに刺激を受けた投手がそのポジションを目指して結果を残すことがあるかもしれないし、ここに左の堀瑞輝あたりが左のオープナーで入ってきたら本当に面白いと思う。
◇味方野手に影響すること◇
実際にオープナー投手が先発すると、どうしても投手を多くベンチに入れることになる。
そもそもメジャーは純然たる先発投手が100球前後の球数であったり、中6日では無いため、メジャーと比較することは難しいが、オープナー投手の失点や2番手投手の崩壊を考えるとリスクヘッジとして1人は多く登録する必要があると思われる。
そうなると野手の登録は1人減る。
捕手の2人制や、代打要因の削減を考えなければならない。
ファイターズで言えば、杉谷選手のような選手がベンチに居てくれると本当に助かると思うし、DH解除も含めていろんな要素が入ってくる可能性がある。
そういう意味では、ファイターズは複数のポジションを守れる選手が多いため、影響は少ないかもしれない。
センターライン(ファイターズで言えば西川や中島卓)以外は、試合中に3つのポジションを守ることもあるかもしれない。それくらい、登録選手を減らすことと言うのは大きなことだし、それが普通に回るようになると、選手層は自然と厚くなるが、不慣れなポジションで失策が増えてしまう可能性もはらんでいる。
もっと言えば、野手のレギュラー選手の使われ方自体をも変えてしまうくらい、オープナー制と言うのは大きなことのように感じる。
◇総じて◇
まだ、日本ではオープナー制を運用したチームは無い。
先ほども触れたが、メジャーリーグの先発投手の球数の目安や登板間隔が中5日と言う習慣では無いので、オープナー制を否定する評論家も出てくると思う。
ひとつ言えることは、結果としてシーズン中に、うまく行かなかったとしても、これをクライマックスシリーズや日本シリーズでやったらどうなるか…
失敗を経験したチームが、短期決戦でそれをやってきたら、相手チームは考えることが増える。
それだけでも、ファイターズのように常にAクラスにいるチームでは、やること自体に意味があって、それを本気でやろうとする監督と、金子弌のように新しいことをやろうとする経験豊かな投手がいる。
チャレンジする環境は整っている。
これも栗山監督が2019年シーズンに掲げている“ぶっ壊す”と言う要素なのかもしれない。
今回はデータ引用が少なく、少しコンセプトからは外れてしまったが、明日からのキャンプインを前に、更新できたことで少しホッとしています(笑)
それでは、良いキャンプインを!!