野球観術

野球や組織論はいつだって愛情から始まる

記録はエラー!

「記録はエラーです。」

よく野球中継を観ていると耳にする言葉ですが、

そもそも「記録はエラーって何?」って子供の頃よく思っていたので、そんなシンプルな疑問を今回はテーマにしたいと思います。

ざっくり言うと、打者走者や走者を本来であれば、アウトにできた打球を野手がなんらかの理由で、アウトに出来なかったり、進塁を許してしまうこと、またはその回数を失策(=エラー)と呼ぶ。

その「記録はエラー」と言うのは、打球や一連のプレーに対して、公式記録員が「それはアウトにできたよね」とか「そのプレーが無ければランナーは進塁しなかったよね」と判断した時に、公式記録として守備側の選手につける記録のこと。

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エラーを見たときに「あぁ~」と言うため息とともに、「それアウトにできたやろ!」と皆さんが思うのと同じように、公式記録員もそう思っている訳です(笑)

ただ、多くの判断基準に則って、記録を付けているので、エラー一つにしても公式記録員の仕事ってすごいなと思う。

 

でも、エラーが多い選手が必ずしも守備の下手な選手かと言えば、単純には言い切れません。

今年2018年、パ・リーグで最も失策の多かった選手はこちら

 

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あることにお気づきの方もいらっしゃるのでは…

 

山川と浅村以外はみんなショートの選手です。

それに、今宮や源田の守備が下手なんて思う人は居ないですよね…??

 

詳しくは分かりませんが、このショートの選手のエラーの多くは※“送球エラー”です。

(※投げたことによるエラーで、逆は捕球エラー)

ショートと言うポジションは、最も多くの打球や送球を処理します。

(源田は何らかの送球でアウトにしている数(=補殺)が526回もあるんですね=パ・リーグ1位)

その中で、ファーストに投げる距離が最も長いポジションで最も難しいポジションと言われます。

それ故に、主にファーストに送球する際に、ワンバウンドしたり、逸れたりして、「ちゃんとしたボールを投げていればアウトだったよね」と公式記録員が判断すると、ショートに“失策(=エラー)”をつける訳です。

難しいことをやっていて、さらに打球を処理する回数が多いのに、エラーばっかりつけられてはたまりませんね…

サラリーマンでも、仕事をこなせる人に仕事が回ってきて、その分、人より失敗が多くて、給料が下げられたり、上司にとがめられたりなんてこともありますよね…泣

 

さすがにショートのポジションで、他の野手よりエラーが多くて給料が下がることは無いでしょうが、それだけ酷なポジションなので優しい目で見守ってあげたいですね。

特にホークスの今宮なんかは、普通の人が追いつけない打球に追いついたりして、触ってしまってエラーになったり、追いついて捕ったは良いが、難しい体勢から投げて、余計に走者を進塁させてしまったりと、名手が故のエラーもあったりします。

 

ちなみに、ピッチャーの暴投(=ワイルドピッチ)キャッチャーの捕逸(パスボール)、野手の野選(=フィルダースチョイス)は失策には数えられません。

 

失策は、ピッチャーの防御率にも関わってきます。

本来はアウトにできたプレー(エラー)で出たランナーはホームに返ってきても投手の責任では無いので、ピッチャーの防御率自責点)には反映されません。これも複雑な計算があったりするので、細かくは書きませんが…

 

そんな訳で、守る野手にも防御率的なのがあって、守備率と言って『(刺殺数+補殺数)÷(刺殺数+補殺数+失策数)』で守る人の数値を出します。エラーが多い人ほど数値は低くなります。※刺殺や補殺についてはいつか取り上げようと思います。

ちなみに今年のパ・リーグ内野手(規定試合数到達者)でもっとも守備率が高かったのが、

ファイターズの中田翔の.998で失策数は3.逆に低かったのはマリーンズ鈴木大地の.969で失策数は10。

 

記録はエラー!でも頑張っている選手だからこそのエラーって言うのもあり、それを一つでも減らして、チームのために一つでも多くのアウトを取る(いわゆるファインプレーってやつです)ことを目標に練習をしている訳ですね。

エラーは流れを変えるプレーでもあります。

「このエラーはだめ!このエラーは仕方ないよ」と公式記録員とは別の目で失策を噛み砕きながら野球を観るのもある意味で野球観かもしれませんね。