野球観術

野球や組織論はいつだって愛情から始まる

僕が感じる日本ハムと言う組織

 

最近、野球の試合やデータ関係から外れた内容を更新しているが、

本質は「~野球や組織論は愛情から始まる~」

と言う理念から外れないことをコンセプトとしている。

 

なのでそれを含めて、今回は僕自身が一番参考にしてきた、北海道日本ハムファイターズと言う球団の組織論と、ストーブリーグで起きている現状を僕なりに書いていこうと思う。

 

僕を含め、ファイターズファンの今の関心は、レアードマルティネスの去就と、自由契約になった金子千尋との交渉の行方でしょう。(レアちゃん・マルちゃん・ちーちゃん)

 

僕はファイターズファンだ!←知ってます

20年以上ファイターズを応援し、指定席は外野自由席と言う信念で球場に行けば応援歌を歌い、勝てば心から喜び、負ければ本当に悔しい。

それとは別に、評論家としての目でファイターズを見たとき、この去就問題について、賛否があることを承知の上で、私見を記述したいと思う。

 

野球好きの人と知り合って「日本ハムのファンです。」と言うと、

「スター選手が多いですよね!」と言う返答が返ってくることが多い。

 

読売巨人軍のようなスター性では無い。

過去、同じ東京ドームを本拠地としていた球団としては、天と地ほどの差があった。

 

そこから北海道に移転し、常勝チームになり、人気チームになった。

 

実はその背景には昨年まで三塁コーチをしていた。白井一幸の存在があることを知ってい頂きたいと思う。

 

ファイターズがなぜ強くなり、人気球団になり、他球団で埋もれた選手を復活させ、容赦なく人気選手を放出する組織になったのかが、この一冊に集約されている。

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https://www.amazon.co.jp/北海道日本ハムファイターズ流-一流の組織であり続ける3つの原則-白井一幸/dp/4866430079/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1543833280&sr=1-1&refinements=p_27%3A%E7%99%BD%E4%BA%95%E4%B8%80%E5%B9%B8

 

この本はファイターズファンの方にはぜひ読んで欲しい!

僕も正直、衝撃を受けた。

 

18年間(1999年~)、試行錯誤を繰り返して未だにチーム作りの完成形を見ないファイターズの戦略はここから始まったのだと言うことが書いてある。

 

その内容を踏まえて、僕にとって最初にショックを受けたのは、現阪神糸井嘉男の放出だった。メジャー移籍を表明した糸井を2013年、オリックスへトレードで出してしまったのだ。

その結果が良かったかどうかは分からないが、当時の僕には理解しがたかった。

 

2016年、広島との日本シリーズを制して日本一になった後、陽岱鋼を放出した。(条件面で折り合いが付かず、FAと言う形で巨人入り)

 

「本当に冷たい球団だな…」と思った。

 

巨人やソフトバンクのように湯水のようにお金を使える球団では無いにせよ、チームに貢献した選手を簡単にリリースしてしまうなんて、あまりにもその選手にもファンにも説明がつかないだろうと…

 

ファンあってのプロ野球。ファンあっての球団。

優勝するためのチーム作り。使えるお金の上限。

そのハザマで起きる葛藤みたいなものも、球団もファンも抱えながら、毎年シーズンを戦わなければならない。

むろん、球団には決定権があるが、ファンには決定権が無い。

それでもファンに還元することを常に念頭に置いている球団と、

葛藤を共有すること

が、僕らファンに出来ることなのでは無いかと感じるようになった。

 

組織論には新陳代謝と言う言葉が付きものだ。

好きな選手が放出されれば、ファンは失望する。

ファンが離れるかもしれない。

そう言うリスクを常に抱えながら、球団はチーム編成を行っている。

 

個人的なことを言えば、今年から中日でプレーしている大野奨太捕手は、年齢も一緒で、面識は一切無いが、出身大学も同じで、仕事をする上で彼のプレーは励みになっていた。

選手会長まで務めた彼がファイターズからリリースされるのは正直辛かった。

しかし、彼は故障を抱え、出場機会も激減していた。

そんな彼が、正捕手として他球団で活躍できるのであれば、チームにも大野にとっても良いことだ。むしろ球団はそこを考えているのだと感じるようになった。

そことはチームとして、個人事業主である選手の価値を最大限尊重し、功労者をリリースする。

そう言う、新陳代謝は痛みを伴うが、より良いものへ進化するために必要なことなのだ。

 

ファイターズはスカウティングと育成のチームだと公言しており、ドラフトではその年の一番いい選手を取ると言う方針を変えない。

過去には、巨人の長野・菅野には入団を拒否され、競合の末、外れ外れ1位の選手を獲得する結果になっている年もあるが、結局は、ダルビッシュや中田、そして大谷翔平、清宮や吉田輝と言う選手にスポットが当たる。

 

そのチーム編成の信念は、トレードやFA、外国人の契約に表れている。

 

球団の考えとは異なるかもしれないが、外国人選手もある程度育てる方向性をもって獲得していると推測できる。

 

現在、テキサスレンジャーズで活躍するクリス・マーティンは、2016年の来日時クイックモーションや牽制が一切できなかった。今年加入したロドリゲスも同様だ。

メジャーリーグ球団との交流から、そう言う選手への指導方法も確立しているので、球団としては育てる自信があるのだろう。

 

マーティンの代役として獲得したトンキンには、1年で退団されてはかなわないので、2年契約を結んだ。

そして、今年チームを支えたマルティネスは1年契約、日本での成功を糧に、メジャー復帰を目指している。

ファンとしては逆であってほしいと思うが、球団は契約面に関しては綿密に数値化し、精査をして主観が入らない条件で交渉を行う。

それがトンキン2年契約、マルティネス1年契約であり、結果はマルティネスが日本で活躍して、現在ファイターズが数値化した価値以上の条件を求めて、交渉をしている訳だ。

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あえて主観をいれよう!

マルティネスは献身的にチームに貢献し、紳士的な立ち振る舞いでチームメートからの援護が無いことを嘆かず、仲間を鼓舞した。

一方のトンキンは、序盤は前の投手が背負った走者を返すが、自分の出した責任ランナーは返さないため、防御率は良かった。そこで抑えもこなしたが、終盤は勝負所で打ち込まれた。

球団がこう言う主観を入れてはいけない(見る人によって差異がでるため)が、貢献した事実をどこまで評価しているのか、数値化しているのかは知ることはできない。

 

それを踏まえてレアードに言及しよう。

彼は、2015年からファイターズの一員となった。

当時、ハーミッダと言う元メジャーリーガーと共に加入して、レアードは序盤、打率2割を下回り、9番と言う打順も経験した。

栗山監督は、「彼の明るさ」にかけて使い続けたと言うが、普通に見れば、外角の変化球を追いかける典型的なダメ外人だった。

ハーミッダは序盤、逆方向への低い打球を放ち、日本野球へ適応を見せたように見えたが、

シーズンの結果は、日本文化に適応したレアードは34発を放ち、逆にハーミッダはアメリカ式から脱却できず、契約解除になった。

 

レアードはとにかく日本の野球に溶け込もうと努力をした。

そんな彼お決まりの「寿司ポーズ」はファンで知らない人は居ないだろう。

 

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守備固めを必要としない守備力(2015年・2016年は三塁手としての最小失策と最多刺殺)と、打てなくても明るく振る舞うその姿は、放出するに値しないと思うが、ファイターズでの生涯打率が.240であり、今年に限っては.233なので、数値化した時(セイバーメトリクス的には厳しい数字が出た可能性が高い)にレアードにとって納得する数字が提示されたかは疑わしい。

 

球団は数値化した成績以上のお金を提示しないだろう。

でもそれは、それ以上の価値を見出した球団が国内外問わずあるのであれば、それに敬意をもって送り出すと言うことなのだろう。

 

彼ら2人の活躍無くして、ファイターズ3位と言う結果は無かった。

でもファイターズは3位なのだ。

1位すなわち優勝をするためのチーム作りをしなければならないし、それが単年であってはいけない。

 

そこで補強に浮上したのが、オリックス自由契約になった金子千尋投手だ。

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僕は金子が自由契約になる可能性があると報道された時、ファイターズにはぜひ獲得に乗り出して欲しいと思っていた。

 

栗山監督がドラフトの時に「優勝するためには絶対的な先発投手が必要だ」と言っていた。

吉田輝や柿木の獲得は将来への期待値であり、過去の実績から来るものでは無い。

 

金子千尋オリックスとの話し合いの際に、不可解な発言を繰り返している。

彼は故障者リストに入っていても、平然とゴルフに行ってしまう程、自由奔放(前回のFAで巨人に行かなかったのはそれが理由と思われる)だが、本質はチームのことや優勝のことを誰よりも考えていると感じることがある。

故障による離脱が多いが、テレビを見ていると意外と理論派だし、吉田輝に関してもアドバイス的な発言をしていた。

おそらくオリックスと、その温度差(チームのビジョンと金子の理論)が埋まらないのだと思う。

それを見て、上記の栗山監督の言葉は彼にピッタリだと僕は思ったのだ。

 

調子の良い時の金子は手が付けられない。

糸を引くようなストレートがコーナーに決まり、チェンジアップやカーブでタイミングを外し、スライダーで簡単にカウントを取れる。

まさに、マウンドの上から見下ろすような投球ができる。

年齢による衰えは隠せないが、生きる教材として、若い投手の見本(生活態度は別(笑))になる。

まさに、ずっと優勝するために必要な投手なのだ。

 

ファイターズには、金子に似た先発右腕が多い。

上沢は今年結果を残したが、有原、髙梨と力のあるストレートと落ちるボールを軸にし、横の変化でカウントを稼ぐタイプだ。

打者との駆け引きも含め、金子の存在で彼らが覚醒する可能性もある。

 

(表)上沢-ロドリゲス-髙梨 (裏)金子千-有原-トンキン(加藤)

でローテーションが回れば、Aクラスで戦える可能性は極めて高い。

僕はこんなイメージだが、球団はどんな構想なのか聞いてみたいものだ。

 

マルティネスとレアードは残留(再契約)の見込みは低いと感じる。

それは決して、彼らが不要な訳では無い。数値化した結果の査定の問題であり、2人が残留することに意義は計り知れないが、

そこに拘らないファイターズの姿勢には共感する。

そして、金子の加入が実現すれば、またワクワクが止まらなくなる。

 

僕は、今の報道を賑わせているファイターズの契約事情を前向きに捉えていることを書して、長文を読んで頂いた方へ感謝の意としたいと思う。