野球観術

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分かってしまうことの弊害

弊害:害になること。他に悪い影響を与える物事。

 

栗山監督が今年監督になって8年目のシーズンの指揮を執る。

栗山監督が4年目のシーズンを終えた後に出版した『未徹在』の中で、

「いろんなことが分かってしまうことの弊害もある」と言う項目で、経験をすることによって判断がマイナスに出てしまうと言うことを記している。

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僕も個人的に思い当たる節がある。

会社や立場は変わっても同じ業界に10年も居ると、そう感じることが多々ある。

 

小売業で仕事をしていると、年に何回かイベントがある。

僕の場合はクリスマス、大晦日、節分(恵方巻)がそれに該当し、このイベントのことを知れば知るほど、怖さを覚えることがある。

 

例え話をすると、商品を仕入れすぎて廃棄の山になってしまうこと、それを怖がって仕入れを少なくして、早々と欠品してお客さんをがっかりさせてしまうこと。

この2つのことを考えてしまう。

 

昨年の数字(データ)や会社からの指示が判断の大きなウエイトを占めるが、何回も経験していくと怖さは積み重なるばかりだ。

その怖さが判断を狂わせることもある。

 

話を戻そう。

今年、栗山監督は8回目のシーズンを迎える。

栗山監督の年末年始の取材のコメントを聞いていると、オフの補強に対して“ワクワク感”を感じるが同時に怖さも感じているのでは?と思うことがある。

 

ファイターズは栗山政権になってから、日本一も最下位も経験している。

そう言う意味では、監督自身が自分の判断を間違えれば、どちらにも転がることを経験的に知っていると言うことだ。

 

そこで、固定概念を捨てて“ぶっ壊す”と言うコメントになっているのではないか。

過去の経験に捉われることで恐怖に押し潰されるよりも、新しい道を歩き続ける方が、もしかしたら怖さが無いのかもしれない。

 

僕が年末の監督のコメントを総合して立てたスタメンはこれだ!

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昨年、栗山監督は2番に大田泰を起用し、西川・大田泰の2人で1点が取れると言う攻撃型の1・2番を採用した。

 

昨年、4月5日~4月8日、西川を2番で使っているが、これは西川の不調によるもので、岡や大田泰を1番で起用していた。


ではなぜ僕の予想が、1番大田泰、2番西川なのか?

そしてこの打順の意図はこうだ。

これは2人の打力と走力を生かすためだ。
大田の魅力は長打だか、足も早い。単打で出塁した際には、盗塁を仕掛けて欲しい。

十分に盗塁できる走力だし、長打であれば盗塁する必要もない。

 

盗塁をしなくても、西川の打席でエンドランをかけて、1、3塁を作る。

エンドランが成功すれば、定石ではあり得ないが、西川の盗塁成功率を考えれば、ここで走って、2、3塁の状況を作ってしまえばいい。

3番の中田は2018年、パ・リーグで最も併殺打が多かったことを考えると、2、3塁にするメリットは大きいし、西川の足を警戒してストレート系が多くなる。
変化球をホームランすることの多い中田ではあるが、ストレートを狙ってホームランが打てれば、それで3点が入る。
それにホームランが打てなくてもお得意の“最低でも犠牲フライ”が打てる訳だから1点は入る。
そして、西川の盗塁の可能性を残して、近藤を迎えることができる。

要は、相手バッテリーにプレッシャーをかけやすい打順と思う。

そして、王柏融の5番起用だか、序盤は日本の投手に苦しむと思われる。
GW頃に.200を下回らないかがポイントになりそうだ。
王柏融は中距離ヒッターで、ファイターズにとってはポイントゲッターとしてどうしても活躍して欲しい選手だ。
されば、そう言うポジションを経験させておくと言うのは極めて大切なことと思う。

GW後に、打順が下がったり、スタメンから落ちたとしても、序盤は5番と言う打順を打って欲しい。

6番に渡邉を置いたのは清宮との絡みだ。
栗山監督は「清宮をシーズン通して使う」と公言している。
1試合フルに出ると言うことになれば、終盤に清宮の前後に左打者が居ると、左殺しの左腕を出しやすくなる。
逆に清宮のために左のワンポイントを使うと言うことは、それだけ相手にコマを消耗させる役割も担える。清宮がそこまでの打者として扱われるかは疑問だが、渡邉の守備力と左投手に対する相性(もっと打って欲しいと言う期待も)含め、6番とした。

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7番が清宮と言うのは、プレッシャーのかからないところで、フリーに打てると言うことに他ならない。

後述するが、清宮にはこの打順にずっと居てもらっては困ると言うのが正直なところなので、とにかくこの打順で結果を残して欲しいところだ。

開幕スタメンの捕手は、鶴岡と清水の予想で迷ったが、開幕戦と言うのはシーズンを戦う所信表明のようなものなので、鶴岡を抑えの捕手として、清水を開幕スタメン予想とした。

 

中島卓はセンターラインに欠かせない存在に成長した。

今のファイターズの中島を脅かすショートは居ないが、シーズンを通して考えると、少し物足りないとはいえるかもしれない。

 

◇ぶっ壊したものが形になる◇

 

先ほど、清宮にはこの打順にいてもらったら困ると言うこと書いた。

それは、栗山監督の清宮への期待を考えれば、7番と言う打順もそうだが、大事な場面で打てる選手に成長してもらわないといけない。

 

王柏融が思うような結果を出せなかった時、そこの打順(5番)に清宮が入る。

そしてそのタイミングで、上位は下記打順になる。

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これは、打順を規定のものに戻すのでは無く、開幕からのオーダーが作り上げた全く新しい打線だ。

(松本をサードで予想したのは、個人的にサードに適性を感じているため)

ぶっ壊したものから、最適化されたものは本当に強い。そんな上位打線になる事を期待したい。

 

そしてNK(中田・清宮)砲と言う記事がスポーツ紙に踊るのが楽しみで仕方がない。

 

 

“分かってしまうことの弊害”と言う言葉を標題としたが、未知のことにチャレンジする怖さも、もちろんある。

清宮に王柏融の成長、レギュラーを掴みかけていて掴み切れない若手へチャンスを与えること。

打順一つ組むにしても、その選手たちの人生を左右するものであることを、栗山監督を痛いほど分かっている。

 

僕が、ブログで好き勝手書いているのとは訳が違う。

 

それも過去7シーズンを指揮した監督であれば、成功したこと、失敗したこと、含めて“分かってしまうことの弊害”が監督の心の中にはあるはず。

 

我々ファンは、今年ものすごく期待しているシーズンだと思う。

 

実は上記の開幕予想の打順は、終盤の優勝争いを想定したオーダーで、監督とどれだけ同じ気持ちで居られるかをアウトプットして試している。

 

キャンプ、オープン戦、シーズンになれば、故障者や思わぬ不調に見舞われる選手が出て、青写真が崩れていくが、ファイターズにはそれを乗り越えて“前に進む力”がある。

 

それも“分かってしまうことの弊害”をしっかり把握しているリーダーが居るからであり、選手を信じることのできる上司が指揮を執っているからだ。

 

監督と最後に笑えることを信じ、キャンプ前の開幕スタメン予想とする。

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