野球観術

野球や組織論はいつだって愛情から始まる

どくしょかんそうぶん その2 ㊦

 

前回の続きです。

 

saiyuki6.hatenablog.jp

 

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前回の最後に、今回の更新はティーチングの側面から更新をしたいと言う締めをしたが、やはり本の趣旨から言って、やはり“参謀の条件”について触れなければおかしいだろうと言うことで、“参謀の条件”を軸に最後の更新をしていこうと思う。

 

“参謀の条件”として、橋上氏が結論付けているは、

 

参謀は柔軟な発想の持ち主で無ければ務まらない

 

と言うことだ。

 

これを見た時、僕自身がっかりしてしまった…

がっかりしてしまったと言うのは、僕自身が“参謀タイプ”と言いつつ、柔軟な発想の持ち主とは言い難いからだ…

 

そこは本から勉強をさせてもらえばいいと言う発想で読み進めた。

 

橋上氏が歴任したヘッドコーチと戦略コーチの差をこう記している。

 

ヘッドコーチは

「チームを円滑に機能させること」

戦略コーチは

「チームが勝つための戦術を選手に提供すること」

 

ヘッドコーチには監督、各コーチ、選手との間に入って調整役をこなすことも重要な責務となる。

いわゆる、「マネジメント能力」を発揮することで、チーム内で生じそうな軋轢を回避し、目配りし気配りをしなければならない。

 

 

一方、戦略コーチとは

「膨大なデータから、いかに効果的なデータを選手に与えることができるか」

が求められる。

 

としている。

 

どちらにしても、柔軟な発想を持って、状況に応じて知恵や知識を使って、組織を回していることは共通しているだろう。

 

 

自己卑下をする訳では無いが、自分自身が非常に鈍感なところがあるが故に、社会に出てから必要なことに気付くのに時間がかかったこと、それを実践することがなかなか出来ていないことが前提にあるが、

 

物事を俯瞰して見ることの大切さや難しさ

 

を、この本を読み進めていると改めて感じる。

 

僕が一番知りたいのは

 

俯瞰してものごとを見るためには何が必要か

 

と言うことだが、僕自身の欠点と照らし合わせたとき、ヒントになることあったので紹介したい。

 

僕が尊敬して止まない栗山監督の話がこの『参謀論』の中にも出てくる。

 

栗山監督とは、ヤクルト時代、同じ釜の飯を食っただけでなく、選手寮も相部屋だった。当時のヤクルトの寮にはエアコンがなく、しかも個室ではなく2人1組が通例だった。

それだけに栗山監督とは当時、いろいろな話をしたことが思い出される。

 

今でも、球場で会うとあいさつをしたり、話をしたりすることもあるのだが、栗山監督から2つのことを聞かれたことを印象深く覚えている。

 

一つは

中田翔を4番で使い続けるかべきかどうか」

もう一つは

大谷翔平を二刀流で起用すべきかどうか」

と言うことだ。

 

 

この2人の起用に関しては、周りから想像以上の批判の声が栗山監督に届いたそうだ。

 

橋上氏が栗山監督に

「栗山さんがこれでいいと思ったら、それを貫けばいいんじゃないですか?」

と答えたと言う。

そして

「誰もやったことがないようなことができるは、栗山さんくらいしかいませんよ。」

と言うと

「そうか!ありがとう。」と表情が一変したと言う。

(このあとのこの2人の起用については語るまでも無い)

 

僕はハッとさせられた!

 

僕が営業の仕事をやってる時に、「同意を得たいような相談は相談じゃねぇ!」と何度も怒られた。

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それ以来、僕の相談に関する定義が決まってしまっていた。

 

僕の中で、相談には大きく分けて2種類あって、

 

一つは今の話で、「同意を得たい。背中を押して欲しい。」というもの。

もう一つは、ある問題に対して「何をして良いか分からない、または、どうしてよいか分からない」と言う場合だ。

 

僕は、前者を相談として扱うことを間違いと教えてられてきたから、そんな相談を相談として受け止めなかった。

 

この項で、栗山監督の事例を紹介しているのは、監督に必要なのは“確固たる信念である”と言うことをエピソードとして紹介している。

 

栗山監督が良い意味でいかに悩み症なのかは分かっているし、前例のないことをやろうとしているのだから当然“決める係”である監督の心中は穏やかではない。

 

橋上氏も言っているが、栗山監督は中田を4番で使い続けること、大谷翔平を二刀流で起用することは心に決めていたと思う。

 

しかし、その信念を貫くための相談、しかも大きなテーマを、同じ釜の飯を食った橋上氏にしたと言うことは、

 

“背中を押して欲しい”と言う相談も立派な相談なんだ!

 

気付かされた。

 

もう一つは、

“背中を押して欲しい”と言う相談が“相談ではない”と言う決め付け

間違っていたと腹を刺された感覚だった。

 

いわゆる、思い込みが解けた瞬間だ。

 

背中を押すために相手のことを考えて言葉を選んであげられるかと言うことも、相談してきた人に対して必要なことであり、思い込みがいかに視野を狭くし、いかに俯瞰して物事みるための弊害になっているかと言うことに気付かされた。

 

また、僕が相談を受けるときの基本姿勢は

“選択肢を用意すること”

だが、その選択肢を選ばなかったとしても、「なぜ、相談してきたことを実行しないんだ!」と思うことは基本的には無い。

 

それは本人が決めることだし、その選択を自分自身の責任で決断して欲しいと言う思いからだが、橋上氏は(WBC及び巨人の)戦略コーチ時代

「この方法で失敗したら、それは戦略コーチである私の責任だ。」と選手に伝えていたそうだ。

 

そして時には、選択肢を用意せず、「これで行こう!」と言う進言やアドバイスも時には必要なことであると気づかされた。

それで失敗したらそれこそ「全部こっちの責任」になるから、より俯瞰して考えられるようになるし、参謀も時には“決める係”になりうると教えられた気がした。

 

柔軟な発想には、

思い込みを無くし、時には断定的に物事を伝えることのバランスが不可欠だ!

と僕なりに解釈した。

 

 

僕が本当に困ったことがあると、決まって相談をする人が居るが、

必ずと言って良いほど

 

(僕の)悪いところを前提に

 

話をスタートしてくれる。しかも断定的にだ!

 

そこから選択肢を用意することと、

その選択肢を選んだ時に

必要な気持ちをしっかりとした言葉を添えて

背中を押してくれる。

 

こう言う人が近くに居てくれると言うのは幸せなことだが、そう感じてもらえること究極の“参謀論”なのかもしれない。

 

橋上氏自体は選手時代に華々しい活躍をした訳は無いが、プロ野球の舞台で長く現役を続け、指導者として不可欠な存在として、活躍をしている。

 

野球が好きな人、中間管理職で悩んでいる人にはうってつけの1冊だったと思う。

 

3回に分けて更新をしてきたが、ぜひご一読頂けたらと思い、今回の更新としたいと思います。