野球観術

野球や組織論はいつだって愛情から始まる

拝啓 中島卓也様

ファイターズは後半戦、11試合を戦って、9勝2敗と絶好調で前半戦終了時点で、7ゲームあったゲーム差は1.5差に縮まり、一時は0.5ゲーム差まで肉薄した。

 

特に、ソフトバンクとの3連戦で3連勝したことは非常に大きかった。

オリックスとの2連戦で連勝し、メットライフに乗り込み、壮絶な打撃戦を繰り広げ、2勝1敗とし、西武相手に遜色ない攻撃力を見せつけた。

 

スイープをかけた、7月28日のゲーム。

中盤まで劣勢を強いられるも、4番中田の本塁打などで反撃の狼煙を上げると、3点差で迎えた9回表、クローザーの増田から3番近藤の起死回生のスリーランホームランで同点に追いついて延長戦に持ち込んだ。

残りの投手力を考えると、表の攻撃ではあるものの、ファイターズが有利と考えていた。

 

しかし、10回裏1死1塁から、西武秋山の打球をショートの中島卓が外野方向に弾いてしまい、スタートを切っていた1塁走者の木村が、一気に本塁に生還しサヨナラ負けを喫した。

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正直、僕自身落胆を隠せなかったが、いろんなことが頭をよぎった。

 

実は近藤のスリーランが出たとき、9回表に勝ち越したいと言う思いがあった。

と言うのは、近藤が本塁打を放ち、4番の中田に打席が回る時点で1死走者無し。

仮に1アウトを取られたとしても走者が出れば、代走で出場して7番ショートに入っていた中島に勝ち越しの場面で打席が回ってくることが頭の中にあったからだ。

 

得てして、後半戦の好調は下位打線の繋がりを抜きには語れない。

その中で、ショートでは石井一成がスタメンで使われ、平沼の台頭や横尾にチャンスを与えるために、中島はベンチスタートがほとんどだった。

 

彼がファイターズの遊撃手の不動のレギュラーであることは誰しもが認めるところだ。

2015年には143試合に出場し、ベストナイン盗塁王を獲得し、

翌年の2016年も143試合に出場し、優勝に大きく貢献した。

 

これだけ実績のある選手がこのタイミングで、スタメンを他の選手に譲ることが、どれだけ悔しいことか…

それは、中島がレギュラーを掴むまでに長い時間をかけて努力をしてきたことを考えれば、

想像に難くない。

 

特に中島や杉谷は僕が大学生の時に入団してきて、ファームの試合よく観に行っていた頃に、2軍で頑張っていた選手なので、思い入れがある。

 

昨日(28日)の試合はそんな中島に一打勝ち越しの場面で打席に立たせてあげたいと言うのが近藤の本塁打のあと、真っ先に頭をよぎった。

 

野球と言うスポーツにおいて、守備や代走で入った選手のところに、チャンスの場面で回ってくるケースが多々ある。

本来打席が回ってくるはずのない選手のところに、打席が回ってくることの意味

みたいなものを常に感じながら野球を見ているが、今回はまさにそんな展開だった。

 

そういう場面で野球の神様が悔しさを晴らす一打を打てるチャンスを、そして中島の一打で勝ち越せればチームとしては最高の勝ち方になると信じて疑わなかった。

 

しかし、9回表に中島に打席が回ってくることは無く、10回表に回ってきた打席では三振に倒れ、10回裏に彼にとっては辛いワンプレーを引き受けることになってしまった。(こう言うことがあるから個人を批判するようなことを言ってはいけないなと言うのも感じたが←ここはあえてそこには大きく触れません)

fighters-kingdom.blog.jp

 話を戻して、

レギュラーだった選手が緊迫した場面で、出場することと言うのは非常に難しいことだと、過去にそう言った経験をした選手がみんな口を揃えて言う。

 

昨日のように、劣勢から起死回生のホームランで同点に追いつくような展開で代走そして守備から入っていくのは、特に試合展開が打撃戦だっただけに難しい。

 

栗山監督も「一生懸命やっていれば、いろんなことがある」と言うコメントを残しているように、中島1人を責めることはできない。

 

この後、ソフトバンクに追いつき追い越すためには、中島のようにベンチに居て、いつでもレギュラーを奪い返してやると言う選手が必ず必要になる。

 

石井一成にしても、平沼にしても、1シーズン戦った経験も無ければ、優勝の経験も無い。

ショートの守備に関しても、中島が一番であることに変わりない。(石井や平沼がレギュラーを奪うことは望んでいるが…)

 

そんな中島に最後にかけてあげる言葉があるとすれば、

(土壇場で追いついた試合展開の中で)

「今回はチームの負けを引き受けることになったけどさ、それはセンターラインを守ることの宿命だし、ファイターズの中でそう言う存在(中心の選手)であることが改めて分かったんだし、良いんじゃないかな!?」

「チームが勝つ中で途中から出ること(不慣れなこと)がどれだけ大変かも味わった訳だし、レギュラーだって、今回の負けだって、これからまだまだ取り返せるって思って頑張って!」      

敬具

 

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