ファイターズの2018年シーズンを振り返る ③
ファイターズの2018年シーズンを振り返るの三回目です。
前回はこちら→
◇疲れていたのは…◇
実際にデータとして調べた訳ではないが、最近の野球は打高投低の傾向にある。
一時期低反発球とか言って、飛ばないボールが採用されたときには防御率1点台の投手が何人も出てきた。今から思えば異常だ。
そうは言っても、野球は投手を中心とした守りのチームが総合力としては高くなる。
「打線は水物」だし、夏場を打って凌いで、最後は投手力で優勝を勝ち取るというのが例年のペナントレースだ。
だから僕は「ソフトバンクは必ず上がってくる、ラインオズは必ず落ちて、マリーンズが上位を脅かす存在になる」と言い続けてきた。
この酷暑で、やはり投手の疲労は顕著に出た。今シーズンエース格になった上沢は勝ちから遠ざかり、中継ぎ陣も逆転される試合が多くなった。ここまではある程度予想の範囲だった。
しかし予想外だったのが、西川や近藤と言った打線の核になる選手が疲労による不調で、打率は急降下…
チームの得点力が大きく下がったことだ。
骨折していた大田泰示を急いで復帰させるも本調子には程遠かった。
西川は前半から不調の時期が長く、レギュラーとしての責任感をずっと感じていたと思うし、近藤も今年初めて、1年間レギュラーとして出場し続けて未知の領域だったと思う。
栗山監督の著書に「近ちゃんがずっと笑顔なら優勝できる!」と言うことが書いてあった。
そんな近ちゃんから笑顔が消えていた…
そんな8月の第4週にファイターズはホークスに2位の座を明け渡すことになってしまう…
◇そこはファイターズらしく◇
ホークスの2位を明け渡した頃から、ファンはもどかしい思いをたくさんした。
トンキンが打ち込まれ何度も勝てる試合を落とした。
打線も何度か組み換え、栗山監督のシーズン終盤への覚悟みたいなものを感じた。
終盤、ライオンズとの残りゲームを多く残していたファイターズにとって、終盤の逆転劇を演じるにはどうしても打つべき人と、終盤投げ切る投手の復活が必要だった。
ファイターズが毎年のようにAクラス争いができるのは、こう言う監督の気持ちが成就することが多いからだ。
毎日の試合を全力で勝ちに行く過程で、必ず生きてくることがあると信じているからこそできる采配ではあるが、今年はそれが成就することはレギュラーシーズンでは無かった。
ライオンズは打線が下降することなく、投手陣も外国人の補強で脆弱だった中継ぎも機能したため、むしろ終盤は無双状態だった。
ファイターズはその反面、投打のバランスが悪く、ライオンズやホークスに勝つことはできなかった。
そこの過程は本当にファイターズらしかった、開幕前の下馬評を覆し、優勝争いまですることが出来た。終盤の大一番に備え、栗山監督はできることをしたと思う。
ただ1つ、ファイターズらしさを感じられなかったことがある。
それは、苦しい時期に走れなかったということだ。
あれだけ負けが込んでくると、積極的な走塁や盗塁をすることは難しいとは思う。
サイバー(セイバー)メトリクス※1の第一人者である鳥越規央さんの著書の中に、盗塁は2回成功しても1回失敗すればチームにとってはマイナスになってしまうと記されているように、盗塁死や走塁死は流れを止めてしまうものだし、データのとしても現れている。
※1 サイバー(セイバー)メトリクス=アメリカ野球学会(The Society for American Baseball Research)の頭文字SABRをとって「セイバー」と読んでいるんですね。そこに測量を意味する「メトリクス」をつなげて「セイバーメトリクス」簡単に言うと「野球統計学」のこと。
栗山監督が「うちのチームは戦力の足し算じゃダメなんだ。うちは掛け算でないと勝てない」と言うように、そんな状況だからこそ「走塁(盗塁)にスランプは無い」。だからこそ、走らなければいけなかったのではないか。
ファイターズはそうやって勝ってきたチームなのだから。
アウトになっても、1つでも先の塁を奪う姿勢が薄れていたことが、なにかファイターズらしさが無かった気がしてならない…
(ちなみ10/5現在の盗塁数はこちら)
今回はここまで!
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