クローザーとはと言う問い
6月11日、日本ハムの秋吉亮投手が右足内側広筋及び内転筋の肉離れで登録を抹消された。
実戦復帰までに1か月半を要すると言う事態となった。
日本ハムは当初クローザーが決まらず、シーズンを戦う中で秋吉に落ち着いた。
(6月9日時点で)26試合に登板し、26回2/3を投げて防御率1.69、0勝2敗12セーブを挙げていた。
WHIP=(被安打+与四球)÷投球回
も0.83と非常に安定していた。
どんな投手でも当てはまることだが、走者を出せばもちろん失点の可能性が高まる。
WHIPは1イニングあたりにどれだけの走者を出したかと言う数値になるが、
いわゆる“劇場”と呼ばれる状況の序章はまず走者を出すことから始まる。
上記データを見ると防御率との関係も、なんとなくは伝わるかなと思う。
日本ハムが今の順位に居られるのは秋吉の存在が非常に大きい。
勝ちゲームになれば、秋吉にどう繋いでいくかと言う逆算になる。
僕がよく言う“野球は流れのスポーツである”と言う、流れの終点になる存在であった。
それもシーズン当初から決まっていたポジションでは無く、投げて行く中で勝ち取ったポジションであっただけに、秋吉としては本当に悔しさがあると思うし、チームとしては非常に痛いアクシデントとなった。
さてさて、クローザーは勝ちゲームを締めくくる投手であることは、周知の事実だ。
「この投手に繋げば大丈夫」と言うチームの信頼を背負っての登板になる。
クローザーが打たれてしまえば、チームが負けること、先発投手の勝ちが消える、などショックを与える要素も大きい。
それだけのモノを背負って投げるクローザーに必要なものとはなんだろうか?
勝ちゲームで投げ続けるための体力や肩が出来上がるスピード、
クローザーはやはり三振を取れることが必要と考えれば三振を取るための技術、
そしてそれだけのプレッシャーに耐えられるだけの精神力。
まさに、体技心である。
※世の中的には心技体だが、僕はずっと体技心だと思っている。
チームが繋いできた勝利の襷(タスキ)を、疲労が理由で打たれるわけには行かない。
そして三振を取れる投手がクローザーの適正と言う話をしたが、オープナーのブログの中でその理由について少しだけ触れた。
走者を出せば失点の可能性が上がることを考えれば、どうしてもヒットを打たれる確率を下げたい。
要はバットに当てられる確率を下げることが重要になってくる。
スリーストライクを、(ボールを)前に飛ばされることなく取ることが出来ればベストと言う訳だ。
過去の偉大なるクローザーはフォークや落ちるスライダー、シンカーなどを武器にする投手が多かった。
大魔神こと横浜ベイスターズ(現DeNA)の佐々木主浩や西武の潮崎哲也、ヤクルトの高津臣吾は落ちるボールを駆使し三振を奪う投球スタイルだった。
三振を取る技術と言うのは、変化球だけでなく、その変化球を生かす速球や、潮崎や高津のようにボールを低めに集める制球力も求められる。
そして何より、チームの勝利を背負った投球をするための精神力だが、これはある意味で無形の力だ。
打たれた後に切り替える力だったり、打者に立ち向かっていく負けん気の強さだったりするが、実際にどんな性格の投手がクローザー向きなのかは僕も正直分からない。
日本ハムは6月10日の試合(対広島戦)で、早くもクローザーの代役が試される機会が訪れた。
試合展開は、1回表に先制されるも、その裏に5点を取って逆転。
しかし、日本ハムはその後1点も追加点を取ることが出来ず、9回の時点で1点差まで追い上げられていた。
クローザーとしてマウンドに上がる投手としては非常に嫌な流れだった。
マウンドに上がった石川直也は力強いストレートをしっかり投げ込み、広島の最後の攻撃を見事に三者凡退に抑えた。
今のセ・リーグにはあれほどの力のあるストレートと落差のあるフォークを投げる投手は、ほとんど居ない。
彼に必要なのは一番最後に来る、“心”の部分だ。
自信を持ってストライクゾーンに投げていればそう簡単に打たれることは無い。
その自信の積み重ねがきっと、再びクローザーとしてチームの力になってくれるだろう。
クローザーとはチームの運命を担う“体技心”が揃ったピッチャーと言える。
僕は日本ハムのクローザーはタイプ的に石川直也しか居ないと思っている。
果たしてクローザーとはと言う問いに石川直也はどう言う答えを出してくれるだろうか?